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性分化疾患/インターセックス

共に生きる。共に支える。

AIS-DSDサポートグループEメールグループに寄せられた投稿より

DSDを持つお子さんのお母さんたち

難しいってことは承知してます。でも、患者家族のみんなに支援の手を伸ばすことで、こういう体の状態に対する社会の無理解を乗り越えていく基本的な第一歩にもきっとなるって思うんです。

御覧の皆様へ

 

 ここでご紹介するのは、DSDを持つ子どもと家族のサポートグループ「dsdファミリーズ」で公表されている、DSDを持つお子さんのお母さんたちのオンラインでの会話です。

 DSDを持って生まれたお子さんを持つご家族の皆さんには、様々な課題がつきつけられていきます。少し前まで親御さんたちは、他の親御さんに会うこともできず、医療的サポートを得ることもできず、ただひとりで様々な課題に向かい合っていかねばなりませんでした。と言っても、そんなことは、ひとつの家族、お父さん、お母さんだけが背負っていくにはあまりにも大きな課題です。時にはそれは命がけのこともあり、全く経験もしたことがないような、誰もどうすればいいか分からないようなところで、やっていかねばならないことだったのですから。その意味では、罪悪感に押しつぶされて、お子さんのケアをまともに出来なかった親御さんたちもいらっしゃることでしょう。

 

 そんな重い責務の中で、数少なくとも同じような立場の親御さんたちが集まって、安全に安心して、子育て、自分自身の思い、社会の無理解・偏見について話し合える機会があることは重要です。何よりも「自分はひとりじゃない!」という思いは大きな勇気となっていくでしょうし、日々の子育て、DSDだからこそやっていかねばならない課題について、先に子育てをやってきた親御さんから体験談を聞いたり、同じ思いをしている親御さんたちと思いを共有できるようになります。

 親御さんたちも集まってくると大きなパワーを生み出します。「世界中の人達に、私たちの経験を役立ててほしい!」「DSDについての偏見を打ち破っていきたい!」。そんな思いから公開された書簡がこれなのです。

 ここでは主に、以下の様なテーマでやりとりがなされています。全て読んでいただいても構いませんし、今ご自身にとって必要なテーマだけを読んでいただいてもいいでしょう。

 

 

 

 

 ただし、様々なテーマについては、それぞれの国・地域の文化、ご家庭の事情、お子さんの成長によって様々に異なってきます。日本と欧米では子どもの成長度は異なりますので、様々な課題にどのように対応していくかはまた異なってきます。ここに書いてあることだけが正解とは限りません。私たちはそれぞれのご家族の様々な判断を尊重したいと思います。どのような決断にしても、それぞれご家族の大きな想いが込められていると思うからです。

 

 様々な方が、このサイトをご覧頂いていると思います。DSDを持って生まれたお子さんのご両親、現に大人になった方、医療に関わる皆さん、何らかの支援ができないかとお考えの皆さん、様々なお立場の方がいらっしゃると思います。それぞれに様々な思いを抱かれることかもしれません。

 

 時に、DSDを持つ子どもの親御さんたちは、ただでさえ様々な思いを抱かれているところを、「勝手に性別を決めている」「本当は中性なのに」「自分の子どもを恥ずかしく思っている」などという無理解から、不当な非難に曝され、更に追い詰められていくということがありました。

 

 確認しておきたいのですが、DSDを持つ子どもたちは、然るべき検査を受ければ女の子か男の子かが判明するようになっています。彼ら彼女らは、みなと変わらぬただの女性・男性です。トランスジェンダーのみなさんの性自認(性別同一性)の話でさえないのです。またDSDを持つ人々の様々なサポートグループでも、「然るべき検査の上で必ず男性か女性かを判定してください」と主張されています。DSDをジェンダーの問題だけで見ようとする視点は、大変偏った視点(偏見)で、多くのご家族を更に苦しい立場に立たせることになります。

 

 私たちが大事だと思うのは、とにかく、ご家族・ご本人そのままの想いを、そのままに、ありのままに、受け止めていくことだと思っています。どうか、無理解や偏見・色眼鏡から、人としての想いを忘れることがないようお願いしたいと思います。

 

 DSDを持って生まれたお子さんを持つご両親の中には、まだ体験が生々しいままになっている方もいらっしゃると思います。自分自身で振り返りができるとお考えであれば、目を通していただければと思います。
 

 私たちは「性のグラデーション」でも「男女の境界の無さ」でもありません。「男女を決めるな」とも言っておりません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。

 DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)は、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。

 

 どうか、お間違いのないようにお願い致します。

 

 詳しくは「DSDsとは何ですか?」のページをご覧ください。

目次の
ピアサポート
Image by Nico Smit

ピアサポートの意味と意義

Emailサポートグループに新しい親御さんが参加された時の歓迎メール

 グループにようこそ!よく、素晴らしいサポーティヴなメンバーの皆さんが作るグループに参加してくださいました。私の娘は14年前に生まれましたが、あなたと同じようにどこにも相談できるところがありませんでした。昨年やっとこのグループを見つけたんですが、ここは私にとってとても大切なものになりました。ここのサポートや信頼関係、そしてアドヴァイスは他では得られないものです。

 今はまだまるでジェットコースターに乗せられているようにお感じかもしれません。ですが、今はとにかくあなたが授かった大切なお子さんを見失わないようにして下さい。皆さんも同じことを仰るでしょうが、きっと乗り越えていけます。どんな疑問でも心配事でもお気持ちでも構いません。必要なことであれば、この素晴らしいグループの皆さんがきっと応えてくれるでしょう。

 

***

 

 このグループを見つけていただいて、とてもうれしいです。多くの親御さんが、このグループの存在を知らず、孤立したままになっていらっしゃるようです。これ から他の親御さんと話をしていく中で、感情を整理し、事実をひとつずつ積み重ねていく予感をお感じかもしれませんね。この世にはどうにもならないことなん てありません。私たちこそがその証明なのですから!

診断を
オフィスで

診断を受けることと,それに対応していくこと。

 学校や病院、歯医者さんなどでお会いする人たちから、向こうは全くの善意で話されたちょっとした一言が、私たちには実際は、針で突かれたように心痛むということがよくあります。

 私たちの経験から言えば、親としてもっと気楽になって、お子さんの医療ケアに自信を持ち、社会的資源(友人や親戚、ピアサポートなど)でより良いサポートが得られるようになっていくと、そういうどうでもいい細かいことを聞いても、あまり気にならなくなるなっていくように思います。

 

 それで先日、うちの赤ちゃんが、私の妹の犬に蹴られて足をケガしたんです:-(。レントゲンを撮るのに骨盤の周りに保護器具をつける時、娘が待てなくて、レントゲンのお医者さんが、「いい子だからちょっと我慢しててね。ママがいつかあなたの可愛い赤ちゃんを見られるようにするためだからね」とおっしゃって。もちろんこの女性はエルザの体の状態を知りません。でも、足の痛みで泣き叫ぶ、それだけでも心痛む状況で、なんだかもっと悲しくなっちゃって:-(。ちょっとしたことに過ぎません。でもなんだか私の心の琴線に来ちゃって。娘は、自分でピンク色のギブスを選んでおいて、今ではいつもどおり勇気があってやんちゃさんで、もう存分に楽しくしていますけどね。

(赤ちゃんの診断がCAISかPAISの)新しいお母さんのメッセージへの、ある親御さんの返信

 お母さんのかわいい健康な赤ちゃんには、何の命の心配もありません。ですからどうぞ安心して、少しずつ時間をかけてこの知らせを受け止めていくことにしましょう。お医者さんはまるでこの世の終わりみたいにバタバタされているかもしれないですし、いくつかやらなければならないこともあるでしょう。ですが、お母さんに今本当に必要なことはただひとつ。お母さんの美しい赤ちゃんとの時間を楽しむことです。診断をはっきりとさせ、冷静にありのままに受け止めていくことで、逆にお医者さんにお手本を見せてあげちゃいましょう。これも様々な自然の有り様なんだって。実はお母さんはもう、これから娘さんを本当に大切にしていく心の準備ができてるんですよ。ご家族にとって一番いい方法をじっくり考えていく時間はたっぷりあります。このグループは、お母さんが必要とする全ての情報源になるでしょう。きっと全部うまく行きますよ!

8歳の娘さんが最近診断を受けられたお母さんが、診断についての思いを書いてくれました。

 

 私の場合最近は自分がどういう思いでいるのかなかなか把握はできていませんが、今はたぶん「怒りの段階」にあるのだろうと思ってます。しばらく時間を費やすことで消化できるようになってきて、自分でもよくやっていると思います。ですが今は、娘のこれまでのこと、これからのことを考えると怒りがわいてくる状態です。戸惑ってもいます。娘のそばに座って、私たちが教えられた情報について一緒に話し合いたい、もちろんまだ8歳(もうすぐ9歳ですが!)ですから、そんなこと細かに全てってわけじゃないですが、少し話をしたいと思っても、その然るべき時っていうのが見つからず、夫も一緒に話しをしたいと思ってくれてますが、皆さんはどうされていますか?

 

 娘は賢くてかわいい、生命力にあふれていて、とても明るい笑顔の子です。ですので私には、彼女の世界が崩れてしまうのが嫌なんです。今は怒りの段階と言いましたが、なぜこんなことがこんな素晴らしい娘に起きたのか、娘はこれからこのことと向き合っていかなきゃならないと思うととても腹が立ってきます。娘にはただその笑顔のままの娘でいてもらいたいと思っています。何もできない自分に腹が立ちますし、“違い”を、人を傷つける武器に使ってしまいたがる愚かな人々がたくさんいるにも腹が立っています。なぜそんな風に腹が立っているのか自分でははっきりしませんが、これが悲哀の作業のひとつのステップなのだと皆さんが教えてくれました。最近更に不安が募ってきてて、それに、そういう風に思う自分も嫌になってしまっています。子どもへの母の愛は偉大なものです。全てがうまくいけばと願っています。

 

経験豊富な親御さんからの返信

 

 お母さん、私もです!!私は何年もですが、もういろいろなことに腹を立ててました!話し合える人がいなかった時は一番ひどかったです。お母さんがそういう思いでも大丈夫ですよ!自分の子どもに、心傷つけるかもしれない重い気持ちにさせるかもしれないようなことをさせたいと思う親御さんはいません。そばに座って話をする完璧なタイミングを探さなきゃいけない!なんてことはないですよ。こういう話はいつか、自然に会話の一部として出てくることになるでしょう。そしてお母さんが娘さんのことを大切に思っているという愛情とともに、何かしかるべき言葉がお母さんのところにやってくるはずです。娘さんには、お母さんが自分のことを大切にしてくれているのと同じように、娘さんの将来の子どももどうすれば大切にしていけるのか、知っていってもらいましょう。それに、娘さんが人生で求めるものも、手に入れることは可能なんだってことも。だって、娘さんにはそれだけのたくさんの才能があるんだから!ってこともです。

 

 ご主人がその場にいる時も、いない時もあるでしょう。ですが、こういうメッセージは、お父さんお母さん両方から、ご家族全員から常に続けて伝わっていくものでしょう。だから、失敗してしまった!なんてこともないです。だってお母さんは、毎日娘さんと共にいて、毎日大切なメッセージのやり取りをしているんですから。私たちがこの家族のEメールサークルに集まっているのは、片付かない思いを互いに聞き、皆が通ってきた悲しみや怒りを和らげていくためです。怒りを持ち続けるのはとてもエネルギーを使ってしまいます。でもいつかそれは消えていくでしょう。しばらくの間は、怒りを放ちつつも、それに生活が呑み込まれないようにしていきましょう。全てうまくいくんですから。

 

 

青年期のお子さんの親御さんが返信されました。

 私の場合は、娘がCAISを持っていることは生後2週間の時、かなり最初のころから判明していました。ですが、娘が9歳になった時の、とても不安定な気持ちは今でも覚えています。ちょうどこの時が小児科のお医者さんにこれからのことを診てもらい始める時期で、小児内分泌科のお医者さんとの関係を作らねばならない時、それにこれまでのあまり心配せずに済んだ時期はもうすぐ終わるのだと感じ始めていた時でもありました。ほかの娘たち、特にお姉ちゃんたちは、生理のことや年頃の女の子が関心を持つようなことを小声で話し始めたころでした。たぶん、女の子のお泊り会なんかでは、好きな男の子の話も出てたでしょう。風向きが変わるのを感じていました。私たちAISの子どもを持つママたちはこういう時期、自信を持ってこれからのことを見つめるのではなく、今にも死んでしまいそうな気持ちになりながらこれからのことを考えるものです。これから大人になっていくという人生でも魔法のようなはずの季節を、このまだ小さな女の子がこれからどう乗り越えていくのか、本当にたくさんの疑問や心配がありました。この時期って、私たちお母さんはとても悲しく、怒りも湧いてくるのが普通なのだろうと思ってます。

 

 それに、どうしてなんでしょう?私たちがやり遂げねばならないトランプはとてもじゃないですが簡単なものではありません。屈託なんて全然なくて、元気で皆んなに愛されるような子どもを見てると、次の段階なんて永遠に来なければいいのに!と思っていたのを思い出します。秘密って、何でもかんでもを引き付けちゃって、しかも全てを悪い予感に変えてしまいます。私の本当に親しい友人2人にはやっと話すことができて、話すのもあり得ることなんだという実感は持てました。今までずっと文化も歴史も共有してきたなじみの2人で、娘のことは知って、愛してくれています。話をするということで、こういう状況に小さな光を差し込ませるのは、真夜中にいろいろ考えて怖いことばかり思い浮かんできてしまうのと、夜ぐっすり眠れて朝目覚めたら気分が良くなっている、そんなふたつの違いに似ているように思います。

 

 本人に話すまでは決して思いもしなかったような、しなやかな力強さを私たちの子どもは持っていたんだって気づかなかった親御さんがいるなんて思えないと言いたいところです。ご不安でしょうが、どうか私を信用してください。どうか覚えておいてください。私たち親が自信を持って胸を張って話せれば、どんなことだって子どもは恐れではなく自信を持つことができるのだと。あの有名なフレッド・ロジャース(訳者注:アメリカで有名な教育学者。テレビなどでも子育てについてのコメンテイターをしていた。)が言ったように、「話ができるということは、なんとかやっていけること」なのです。実際そのとおりだって思いません?「話せること=大丈夫になっていくこと」というのもあるでしょう。いいえ、大丈夫なんてところじゃありません。それ以上の、大切なものにだってなっていくんですよ。

お子さんと話
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お子さんと話をしていくこと

(何を話すか、いつどのように話すか)

3歳のCAISを持つ女の子のお母さんが、「最初の一歩」というタイトルで、グループにメッセージを書いてくれました。

 

 昨日の夜のことです。娘をベッドに戻そうと連れ添った11回目、娘は私を見てこう言ったんです。「ママ。私いつもママの心の中にいるよ」って。誰からこういう表現を学んだのかは分かりませんが、この言葉には本当に深く胸揺さぶられました。「そう!お母さんの心の中にはあなたがいるのよ。それにあなたの心の中にもずっとお母さんがいる」。「うん!」と娘はうなずいてくれました。ちょうどいろいろ教えるのには本当にいい機会だとも思って、「イエス様もあなたの心の中にいるの」ってとっさに付け加えました。

 

 すると娘が「知ってる!イエス様は私のおなかの中にだんだん少しずつ降りてくるの。そして赤ちゃんになって出てくるの」と言ってきたんです。とても活き活きと。おなかが大きくなっていくジェスチャーをしながら。「え、ええ・・・」。私は言葉に詰まりました。何の心の準備もありませんでしたから。3歳の女の子です。3歳の子どもに、赤ちゃんを持つことについて考えさせるなんてあまりに早すぎます。

 

 「うん…。そうね」。私は話を続けることにしました。「でもね、みんながみんなおなかで子どもを育てるんじゃないのよ」。娘にパジャマを着させながらです。「ママを必要としてる赤ちゃんがたくさんいるの。あなたもいつかそういう赤ちゃんのママになることもできるのよ」。「そうなの?」。娘は青い大きな瞳で聞いてきました。「子猫のママにもなれる?」。私はためらいながら、「もちろん子猫もOKよ。来てもらえるわ」と応えました。

 

 その日の夜の午後10時45分。私の世界は一変しました。突然思いもかけない形で、理解というものへの私たちの旅が始まったのです。あの夜のことを少し後になって思い返しています。娘は誰からも愛される天使のように無垢な顔をしていました。ずっと娘を守っていければいいのに!と私は思いました。娘は何も知らないと分かっているからこそ、私の心が大きく揺さぶられる。そんな皮肉な状況でした。今しばらくは、しばらくは、シンプルな話で済ませておこう、そうできれば…と思いました。まだいきなり全ての瞬間が来たわけではないですよね。心配で…。これからもでしょうが…。今は娘を不安にさせる時ではない。今は、今しばらくは。。この子が一番心安らかになれるだろう然るべき道を選ぶ勇気をお与えください、もし誤った道だったら引き返せる力を与えください、この子を支える柱となれますようにと神様に祈ろうと思います。この祈りが届けば、娘は私の想像以上の強い力を身に付けていくだろうと。

 

 みなさん、私たちのこの旅を共にしていただいて、ありがとうございます。

 

最近CAISと診断された16歳の女の子の親御さんが、お医者さんから自分の遺伝子の組成について詳しく話を聞いた後、どのように過ごされているか、グループに話をしてくれました。

 

 今朝はこの上なく上々でした。遺伝子専門の先生と遺伝カウンセラーさんが、(他の病院の先生方が)夫と私に話したよりも、もっとたくさん、しかも上手に説明してくれました。娘もそれには完璧に満足していました。ふたりの先生がお話されたことを全部理解し、質問もいくつかしていました。訊きたいと思うことはこれからも沢山出てくると思いますが、娘も今のところ本当に上手くやり遂げています。娘をランチに誘って、今どう感じてる?何か訊きたいと思うことがあったら…云々尋ねてみたのですが、返答はこう。「大丈夫。たいしたことないよ」でした。できればこういう流れでいければと思っています!

 

 

グループの別のメンバーさんからの返信

 

 本当、とってもいいニュースですね!とてもしっかりした娘さんなんでしょうね。

 少し面白いなと思ったんですが、実は他の方たち(親御さんや、女の子・女性どちら)からも本当同じようなお話をお聞きしたことがあるんです。遺伝子の詳細の分類や、それに精巣のこともだったと思うんですが(精巣のこともだったかちょっとあいまいです)、そういうことを話した時の子どもさんの反応って、「話してくれてありがとう」とか「危ないことじゃなくって良かった」なんていうのが多いんですよね。

 ともかく、事実に則した情報を信頼できる状況で話をするというのが、みんな(お子さん・10代・成人の本人も含めて)にとって一番いい方法なんだって、みんな納得いただけるんじゃないかって思います。

9歳の娘さんを持つお母さんが、娘さんに何を話せばいいか、どう話せばいいか、いつ話せばいいか心配になり、10代の娘さんを持つ親御さんたちがそれに答えました。

 9歳はいい時期かもです。信じられないかもしれませんが、私の(CAISを持つ)娘がいる学校では、もう4年生で、卵巣と精巣、そしてX・Y性染色体について教えています。こういう授業が始まる前に、知っておいたほうが娘さんには良いのではないかと思います。「学校でもこういう話を聞くかもしれないけど、学校で教えるのはね、ずっと基礎の話だけなの。でも本当は、みんなそれは男の子のもので女の子にはないと思ってる体のパーツを持っている女の子もいて、男の子には無くて女の子だけのものだと思ってる体のパーツを持ってる男の子もいるのよ。そしてそれも全然OKなの」云々って、娘さんに先に教えておくことができるからです。

 

 自分はどんなパーツを持ってるの?と訊いてくることもあるかもしれません。それか、それよりも前に、人が持っている「いろいろなパーツ」を絵で描いてみせるという方が簡単かもしれません。あなたの場合は精巣を持ってるのと私が話をしたのは、娘が9歳の時です。娘が訊いてきたんです。「だったら私は何を持ってるの?」って。自分は女の子だから卵巣を持ってるものだと娘は思ってました。お医者さんはとりあえずお兄ちゃんは精巣で、妹は卵巣というところから始めれば?と言っていて、私から娘の体のパーツについては言ってなかったのですが、娘はもうしっかりしてたんですね。娘から訊いてきたんです。

 

 ですので私たち家族はもう授業(ほとんどの女の子は卵巣を持っていて、ほとんどの男の子は精巣を持っている。でもみんながみんなそうとは限らない…)はしたことになりました。娘は会話をそのまま覚えてはいるわけではありませんが、頭には残っているはずです。それにこれって一回きりの授業じゃないですからね。何度も話し合っていくことです。(訳者注:相談された)お母さんも、娘さんにこう思って行ってもらおう、話をした時にいきなりでショックになるんじゃなくて、穏やかに受け止めていってもらおうとされていると思います。

 

 一度テーブルに載ってしまえば、話しやすくなるはずですし、話す方法もたくさん出てくると思います。皮肉なものですね。だって昔はお医者さんも親御さんたちも一番恐れていたことなのに。子どもの成長に合わせて、まっすぐ前を見て話しあえばいいんです。入学前から、優しさを持って、注意深く。少しずつ詳しく、少しずつ率直に。高校生になれば全てを。もうタブーはほとんどありません。これについては、年齢に応じてって結構難しいです。特に学校の動きが早過ぎる時には。でもお友達に生理が始まる頃には、正確に話をしていきましょう。そうすれば娘さんも心の準備ができますし、もう分かっていることなんですから、不意打ちになることはありません。

 

 私はちょうど今、娘に初めて好きな男の子ができた段階です。バスケットチームに入っていて、自分自身の医学的問題を持っている男の子が、娘のことを好きだって噂が流れてるんだそうです。娘は、サポートグループに入っている男の子を拒否するようなタイプの人間じゃないことを、私はとっても誇りに思っています!!!(笑)。

 

 

経験豊富な親御さんが、新しいお母さんが安心できるよう、歓迎の返信をされました。

 

 私たちのグループへようこそ!私は自分の娘たちには正直であろうと常に思っていて、他の親御さんがおっしゃるように、子どもたちの成長に合わせて、子どもたちがその時に理解できる情報を少しずつ話してくるようにしています。どのような言葉を使って話すのか、そのことで頭を抱えて悩んできましたが、その時に必要な言葉は自然に出てきました。お母さんがこれから娘さんとされる話は、なんだかんだ言っても、どうやって家族を作るのか、人はそれぞれに違っててそれぞれに特別なんだっていう普通の話のヴァリエーションみたいなものです。

 

 お母さんと娘さんはこれから、他のご家族に会う機会を持たれるでしょう。そうすれば娘さんも、他の子どもたち、若者、そして娘さんと同じ年代のお子さんたちを知っていくわけです。そんな素敵なお手本になるような人たちと共に成長していくことで、他のお友達とは少しだけしか違わないほんとうに素晴らしい人生を送っていけるんだって、私たちの子どもが未来に夢を持てる、そんな一歩を進めるようになります。

あるお母さんが、いかに娘さんの心を傷つけることなく、身体についての事実を伝えるか?という疑問に返信されました。

 

 身体についての事実が、娘さんを「傷つけてしまう」と思い考えるだけでなく、これからの長い人生、お父さん・お母さんたちは、真に娘さんを励まし、真に娘さんの将来を考えて力を授けていく立場にあるんだってことを思い出して下さい。それは決して、お母さんにとって楽な仕事ではありません。ですが、きっとできます。それに、人生についてのそういう教訓を一番やさしく教えていくことこそが、他の誰でもない私たちの役目なんだと思います。

 

 

「私たちにとってちょうどいい日」

(マギーさんと他の親御さんたちで交わされたやりとりです)

 

 担当の内分泌科のお医者さん(とってもいい人です)と、彼女から薦めてもらった泌尿器科のお医者さんに、家から車で2時間かけて行ってきました。

 

 いいニュースです!

 

 まず、7歳ですがまだとても小さい息子の成長速度が上がっているって!まだまだとても小さかったので、とてもうれしいニュースでした。

 そしてアヌジュ(10歳・女性PAIS)は、5歳以来、初めて(下着の隙間からサッと少しだけ見るだけじゃない)本格的な外性器検査を受けました。娘はちゃんとやりきれました。手術後の問題がいくつかあって(手術は1歳の時に受けたんですが、6歳ごろから傷跡の組織の問題があったので)、いずれ誰かにちゃんと診ていただく必要があったんです。今回娘ががんばったことを誇りに思います。事前にアヌジュと私で、アヌジュ自身はどうしたいかよく話し合い(娘は必要なことなら構わないということでしたから、泌尿器科のお医者さんも診る必要のあることはできたようです)、娘とふたりで計画していた範囲を超えることもありませんでした。でもやっぱり少し戸惑ったりためらったりしてました(当たり前ですよね…)が、問題なく病院を出ることができました。

 

 今はちょうど、思春期やホルモン、性器のこと(どういうものか、どういう働きをするか?)をふたりで大切に話しています。ふうー。今日は結構踏み込んで、娘が知るべきこと、大丈夫だと思っていいことを伝えました。二次性徴のはじまりを見ていくために6ヶ月ごとに血液検査を受けていくって私たちが決めたことにはものすごく怒ってましたけどね。もう注射大嫌いなので!

 

ふううー。マギーより

 

あるお母さんが返信されました。

 

 ひとつ峠を乗り越えたんですね!アヌジュちゃんにも難しかったかもしれないことをちゃんとやり遂げられたように思います。マギーさんすごい!

 

他のお母さんも返信されました。

 

 マギーさん、すごいニュースですね!検査の時に体に触れられることについてはどう話されたんですか?いくつかの検査はやはり必要ですし、どう話すかって大切なことだと思うんです。検査の間は横に付き添われましたか?

 

マギーさんの返信

 

 水曜日の診察予定については週末から話しました。今回は泌尿器科のお医者さんが、あなたの陰唇が育っているかどうかちゃんと診てもらわなきゃならない、これは大切なことなんだって伝えました。当然娘は心配そうでした。でも痛みやかゆみがあって、それを嫌がってましたので、診てもらう重要性は理解してました。娘にはもう一度、女の人はみんな1年に1度陰唇の検査を受けていることを思い出してもらい、私もずっと受けているから、分からないことがあったら訊いてねと伝えました。「お母さんにとっても、いい気分の日じゃないけどね…。だって、そこはお母さんにとってもとってもプライヴェートで大事なところだもん。でも健康のことをちゃんと確かめておくのも大切だから」って。

 

 娘にもう少し気が楽になれるにはどうすればいい?と訊くと、娘はやはりお医者さんに触られたくないと言ってくれました。ですので、お医者さんが見る必要があって体の向きを変えるときなどは、自分の体に触れていいのは自分だけということにするというアイデアをふたりで考え出しました。このアイデアは気に入ってくれました。私は部屋で一緒にいて、どうすれば体の向きをうまく変えられるかなどなど、ふたりで色々考えました。もちろん娘の戸惑いが消えたわけではありませんが、ただそのままに横たわってお医者さんに触られるだけよりはずっと良くなったのではないかと思います。お医者さんは本当に親切で尊敬できる人でした。私たちの希望を伝える前から、お医者さんの中では、体に触れるのは看護師さんにやってもらおうということにしていたなど、いろいろ考えていただいていたみたいです。そのお医者さんもちゃんと、男性医師が女の子の陰唇に触れるということが子どもにとっては特に耐え難いことになり得るということに気がついていただいていました。

 

 なんとかひとつハードルは越えたみたいです!

マギー  

 

他のお母さんからの返信

 

 こんにちは、マギーさん

 ご家族皆さん、特にアヌジュちゃんのお話、すごかったです!自分のことは自分で主体性を持つ(他人に預けない)という感覚を持たれたのではないかと思います。それがずっとアヌジュちゃんの心に残ってくれればいいですね。以前の投稿で、娘さんはもうXYのこと、性腺のことを知っていると仰ってたように思うんですが、それすごい!って思って。よければどんな風にアプローチされたのかもう少し話してもらえませんか?私の方は、もうすぐ性腺のことについて話し合いをしなきゃいけません。そういうところ以外では、娘のリリーは元気にやってます。私たちが教えたように、九九を覚えようとしているところです。

 

 家族の皆さんへ愛をこめて

エリー

マギーさんからの返信

 エリーさん、こんにちは!

 九九やってるんですね!アヌジュもです。もう見てて面白くって。九九を覚えるの、何かいい方法があったら教えてください。もっと別の方法を考えなきゃと思っていたところです。

 さて、X・Y染色体と性腺のことですが…。これ、つい最近のことなんです。以前から、娘の体とDSDsを持たない女の子の体とではどんな風に違ってどんな風に同じなのか話をしてきた自然な流れからなんです。アヌジュは染色体については全然基礎ですけど、私たちの体がどんな風に成長するか方向を教える「地図」の一部みたいなものと理解しています。そしてホルモンのことも少し話しています。(まだもう少し小さい頃、色々な「ジュース」ということで、私たち(男の子と女の子)はみんな、「赤」と「紫」のジュースみたいなものを持っていて、そのジュースで私たちの体は成長するの。そしてあなたやDSDsを持つ他の女の子の中には、その他の女の子よりも、1種類のジュース(紫の方)が多い女の子がいるのよ)。こんな風にアプローチできるだろうって、数年前にトム・メイザー先生から大きなアドヴァイスをいただいてたんです。最近アヌジュは、テストステロンやエストロゲンという言葉を知ったところです。

 

 その後これも最近ですが、彼女の持っている地図(「X・Y染色体」のことです)は、男の子になる道を示すこともあれば、DSDsを持つ多くの女の子の場合はそのまま女の子になっていく道を示すこともある。それがどんな風に起きるのか娘と話し合ったところです。卵巣にも精巣にもなり得る性腺の説明もしました。そしてDSDsを持つ女の子の多くは、その性腺が完全にどちらにもならない。性腺は体の成長を助けてくれるんだけど、ある時点からはその役割が終わって、取ってしまう必要があるのだと。(訳者注:未分化な性腺は悪性腫瘍化の確率が非常に高いため、摘出される必要があることが多いと言われています)

 

 娘は「取る必要がある」というところを少し心配しています。「外科手術」のことですから。娘は自分が「男の子になっちゃう」わけじゃないことをもう一度確認したがりもしました。ですので最近は、そういうことはないともう一度確認するいい機会になっています。今私たちが受けている素晴らしいケアの助けもあって。

 

 今のところ娘にはこれがいっぱいいっぱいですが、これから成長するにつれ、更に深いレベルまで理解していくだろうと思います。

 

 私たちの経験がお役に立てればと思うのですが。リリーちゃんがお元気と聞いてうれしいです。ご自身とご家族を大事にしてあげて下さい!

 

マギー

(3歳のCAISを持つ女の子の)他の親御さんからの返信

 

 九九ならお役に立てますよ(笑)!ビッグブレインズというところが九九アタックっていうフリーゲームを出してます。学校の子どもたちで人気なんです。いろいろなコツがつまった覚えやすい九九の歌も入ってます。9歳の子どもに合わせたコツもありますよ。お役に立てればと思います。

 

マギーさんからの返信

 

 ありがとうございます!九九については本当誰かに助けてほしくて…。九九の歌、娘のお気に入りになりました!もういっつも歌ってます!

 

:)マギーより

エリイさんからの返信

 

 マギーさん、こんにちは。

 あの恐ろしい九九…。娘は成長したらきっと私のことを恐ろしい母親だったと思うんだろうなと思います。九九の宿題と練習をやらなきゃいけないことで、もう何度も何度もケンカしあった。ただ、もうそれだけを基準に!!!娘はまだ9歳ですが。

(中略)

 マギーさんの体験談、もっとずっと前に読むことができてればどうだっただろうって思います。(多分何度も何度も何度もくり返し読んだでしょうね)。そしたらもうちょっと落ち着いてたかも。質問させて下さい。アヌジュちゃんには、これはプライヴェートなお話なんだってどうやって説明されましたか?これ実は結構難しいなあって最近思ってます。私たちは一方では子どもにオープンでありたいと思っています。(自分だけで秘密を抱えてた頃には戻りたくないと誰もが想うでしょう)。でももう一方では、自分の体が少し違ってると分かった子どもがまだもっと幼い場合、どうやってプライヴァシーについて教えればいいのかという課題もあります。子どもにこの事をプライヴェートにさせておくって、現実的なことなのかな?とも思えて。

マギーさんからの返信

 

 エリイさん、こんにちは。

(中略)

 プライヴァシーについてですが、アヌジュは自分のDSDについて絶対他の人に話したがりませんでした。ですので誰となら話すか話さないかという話し合いにはなりませんでした。娘がまだ安心感を持てていないのに、少し踏み込み過ぎたのでは?とも感じています。(その時には思い至りませんでした)。今は娘は家族とおじいちゃん、それに本当に親しい友達数人だけには知っておいてもらいたいと思っています。(これも来年の大会でいろいろなDSDを持つ他の子どもたちに会ったら、また変わっていくかな?とも思ってますが)。

 

幸運を!マギーより。

 

幸せな家族

子どもに「恥ずかしさ」や「嫌さ」ではなく、

プライバシーの大切さを伝えること

子どもに恥ずかしさ

まだ幼いPAISを持つ女の子のお母さんの書き込み

 先週、お泊り会から娘を迎えに行った時のことです。お泊り会先のお母さんが、女の子たちみんな素敵な時間を過ごせた、泡のお風呂にもみんなで長い間入っていたと言われたんです。そのお母さんには何も知らせてませんでしたので、私の心臓は飛び跳ねました。娘の陰核は一般的な大きさよりも大きく、私はずっと娘と妹には、「プライヴェートなところ」、正確には「プライヴェート」という観念そのものについて考えるよう、促してきました。後で娘に、娘が違った大きさに見えることを、お友達はもう知っているのか訊いたところ、娘はこう言ったのです。「うん、もちろん。4年生の時に一緒に泳いでから知ってるよ」。

 この返事にはどこかとてもポジティヴな感じがあることは分かっています。娘の持ってる違いは、彼女にとってはそれほど問題じゃない。お友達についてもそのようだと。ですが、将来起きるかもしれないことから娘を守らなくちゃいけないことも承知しています。この違いが問題になってしまうかもしれないこと。他の人がそれを知ってることで、それが娘に不利な形で使われてしまうかもしれない。娘がそういう状況を適切に乗り越えていく、そういう心の成長がまだの状態で。

 

 数日後、ママと娘のお買物旅行で、私は娘に尋ねてみました。お友達とお風呂に入った話、水泳の時の話、あの話もう一度してもいいかな…?と。私は説明しました。覚えてる?何週間か前、あなたの一番のお友達と簡単にケンカになっちゃったこと…。

 

 うん…。ママとパパはね、あなたにこれからのことを知ってもらいたいの。12歳、13歳になった時。それとももう少し後かな?お友達の中には、違いがあるってことをあなたを傷つける方に使っちゃう人も出てくるの。あなたの髪の毛が赤いから嫌いとか、痩せすぎだから好きなじゃないとか、ゆっくりすぎだから嫌だとか、クラスで一番だから好きじゃないとか、前歯が2本出てるから嫌いとかね。娘は自分の前歯を触ってました。

 

 私は続けました。あなたのママ違う国から来た人だからあなたのこと嫌いって言う人もいるかもしれない…。

 

 娘は私の方を向いて言いました。「でもそれって人種差別の人だよね!」。「うん、そうね。人種差別主義者よね。とっても意地悪な人。ママがどこの国から来たかなんて、あなたがいいお友達だってこととは本当は全然関係ないよね…。でもあなたがお友達とケンカになった時、あなたについての話であなたが傷付けられるかもしれない、そういう酷いことをいう人がいるかもしれないってことを覚えておいて欲しいの。

 

 だからね、パパとママは、あなたが少し違って見えるってことをお友達にはこれ以上あまり知ってもらいたくない方がいいなって思ってるの。あなたのお友達があなたに、「あなたのプライヴェートなところ違って見えるから、あなたのこと好きじゃない」なんて言うの見たくない…。それって本当、ママがどこの国から来たかなんて関係ないってことと全く同じなの。

 

 娘は「分かった」って。それからどこにランチに行くかふたりで決めました。

 

ある親御さんが、外性器の見た目が違っていることについて、日々の生活でどう扱っていくかアドヴァイスを求め、あるお母さんがそれに返信されました。

 

 私の娘は今4歳ですが、彼女も目に見えて分かるくらいの陰核の大きさです。(ベビーシッターさんや保育園の先生など)おむつを変える必要がある人には、軽く日常風に、下半身がちょっと違って見えるかもしれませんけど、そういう風に生まれただけで、至って健康良好な女の子ですからと話すようにするのは私もうまくいってます。私がそういう風に軽くポジティヴに話しているのを聞いている娘にも問題ありません。お母さんもうまくいくことを願います。私も、こういう感じの方法でOKと思えるには少しだけ時間がかかりました。でも本当、うまくいってます!変な質問を返されたこともありません。

 私の場合は、押し付けがましい医療関係の人をどう扱っていくかが問題でした。以前週末のことですが、代理の小児科医が、娘のDSDについて私に質問してきて。(「娘を男の子に育てるか女の子に育てるか、あなたはどう思ってるんですか!?」とかなんとかいうアレです)。でもこれって、中耳炎の診察に行っただけの時だったんですよ(!!)。まずその質問にはお答えしましたが、先生には全然関係ないですよねということをはっきりさせ、今日は中耳炎のことでお伺いしてるのであって、DSDのケアについてはいつものお医者様と話し合ってますのでということを彼には思い出してもらうようにしました。まだ腹は立ってますけどね。本当無神経な人で!娘さんのDSDのケアに関係のないお医者さんには、今日は別に娘のDSDについて話しに来たんじゃないと遠慮無く言った方がいいです。娘のDSDケアを詳しく知っている担当の先生だけしか、娘のカルテ全部を見ちゃいけないというのが当然だと思います!

子どもの診察
問診票への記入

子どもの診察についての質問

 支援を求めていただいてありがとうございます!私はカナダからなんですが、この辺ではこういうグループが全然ないみたいで(笑)。CAISを持つ患者さんのお医者さんに行く頻度がどれくらいか二度ほど尋ねてみたんですが、十分な答えはまだもらっていません。ちゃんとみてもらっていないんじゃないかって不安になります。2月・3月までは何の診察もないって。こういうものなんでしょうか?診察って1年に1回だけなんですか?次回、性腺に腫瘍がないことを確かめるために超音波検査をするってことなんですが…。

 こんな大切なこと、私にとっては責任重大な大きな仕事をまた新しく課せられて、その上誰も何も教えてくれないのと同じくらいの気持ちです。全部自分で調べて全部自分でやらなきゃいけない、そんな感じで…。私には、マニュアルでも何でも、何かサポートが必要です。何か少し喪失したようにも感じますが、やめることも、転職することもできない仕事。そう。娘のケアをしていく、一生の仕事です。仕事の報酬は十分にあります。娘の笑顔こそが私が必要な報酬なんですから。

家族の
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家族の孤立を防ぐ

「PAISの可能性が高い」という診断を受けたまだ幼い娘さんのお母さんが、友達と距離を置くことにしたり、誰となら自分の経験を話せるか不安になっていました。

 

 娘が生まれてから早々、私たちはこのことはできるだけ人には話さないように、話したとしても最小限に留めることにしました。哀れみの目で見られたくなかったからです。周りのみんなには、このちっちゃな赤ちゃんを祝福してもらいたかったんです。私は誰にもこの娘を他の人と違ったように見られたくありませんでしたし、憐れんでももらいたくありませんでした。

 

 友人のひとりは私と一緒に泣いてくれました。私が娘に感じ悲しんだ喪失感を彼女自身も体験していましたので。でも彼女は決して私を憐れみの目で見ませんでしたし、娘との接し方も変わることがありませんでした。

 

 看護師をやっている友人はこれまでの経験もあってでしょう、娘の体の状態についてはそれほどの説明は必要なく、大きく微笑んで言ってくれました。「ねえ、私たち親ってみんな分かってると思うけど、自分の子どもって特別なのよね。でもあ なたの子どもは本当特別だわ!彼女は強くて美しい女の子。いつか素晴らしい女性になって、私たちみんなに教えてくれるのよ。違いを抱きしめ、本当に自分自身であるってことを」。

 

 憐れみはちっともありませんでした。彼女は娘の違いを本当に祝福してくれました。それに彼女は教えてもくれたように思いました。もちろん私はいつも娘の持つ違いを抱きしめていました。でも彼女のおかげで思い出せました。違いは障害物じゃない、それ自体が奇跡なんだって!

 

 多分私は悪いことばかり考えてたんでしょうね…。

 

ふたりのCAISを持つ娘さんの親御さんが書き込みされました。

 

 私は家族と親しい友人には最初から話をしました。だって、秘密にしておくのは私にはあまりにも重荷でしたし、信頼できる人の支えを必要としてましたから。

小児科
自然界のティーンエイジャー

小児科から大人のケアへの移行。

そして恋愛について。

10代の娘さんのお母さんが、婦人科医さんにかかる時期について質問され、ふたりの若い成人の娘さんを持つ親御さんが返信されました。

 

 婦人科医さんにかかり始める「正しい」時期というのはありません。成人のケアへの移行は、思春期時期の始まり頃に、なぜ女性はみな婦人科に行くのか?それは婦人科医が大人の女性の健康問題の専門家だからという話をした上で、時期を見ていくということになると思います。婦人科医は全ての女性の様々な健康問題をチェックするのが努めです。外性器や膣は健康か?ホルモンバランスのモニター(ホルモンは体の様々な臓器系に影響を与えます)、子宮や卵巣の検査、安全で健康的なセックスについての話し合い、家族を持つ準備、避妊法などですね。

 DSDを持つ女の子は、一般的とされる内性器の状態ではないかもしれませんが、ほとんどの場合、この子たちも他の女の子と同じような悩み、心配事を持ちます。カンジダ菌や尿路感染症があるかもしれませんし、ホルモンバランスが崩れると健康問題が出るかもしれません。DSDを持つ女の子たちは、セックスに関して、何らかの方法での膣の拡張が必要になることもあるでしょう。これについては彼女たち自身が決めることで、始めるのならいつ始めるのか決めるのは完全に彼女たち自身です。婦人科医は彼女たちが最善の選択をする手伝いができます。性的な関係をもつ前に始めたいという女の子もいれば、何回か経験を持ってからの方がいいと考える女の子もいるでしょう。先に婦人科医にかかっていれば、こういう話し合いもやりやすくなると思います。

 もしまだ娘さんが小さくて、こういうことを考えるのが本当にストレスになる場合は、18歳頃大学に入学して、もし家を出るってことになったら、自分でそうしたいって思うようになるかもねくらいに言っておくこともできるでしょう。そういう話をする前に、お母さん自身が婦人科医にかかって、お母さん自身の身体の相談にどんな風に答えてくれるのか、どんな感じの人なのか、若い女の子にはどんな風に接しているのか確かめてみるのもいいでしょうね。そうすれば、お母さん自身の「相談(診察)」の様子を娘さんに伝えられますし、お医者さんには「こんにちは」って言って、疑問に思ってることを質問すればいいだけなのよと言えるのではないでしょうか?でも、娘さんが今の小児内分泌科の先生が安心できるなら、しばらくの間そちらをいきなり辞めちゃう必要はありません。何回かどちらにも行く期間を作れば、移行もスムーズにいくかもしれないです。

 

 年上の女の子たちも、このことについて教えることもできるでしょうね。次のサポートグループの大会で、まだ年齢の低い女の子たちと若い女性だけの特別なセッションを用意するかもしれません。

 私の娘たちはふたりとも、今なんの問題もなく男性との恋愛関係を結んでいます。必要なら私が助けになるってことをふたりとも承知してくれています。私が彼女たちのプライヴァシーを大切にしてるってことも。確かにそこに至るまでは大変でした。成長して普通の恋愛関係を持ってもらいたいと願いながら、同時にふたりを嫌な体験から守りもしてきましたから。もしかしたら私は、娘たちが性的な関係を持ち始めたことを大喜びした、アメリカでただひとりの母親かもしれないです。

性別の
楽しん女の子

「性別の問題」?

10代の娘さんのお母さんが、婦人科医さんにかかる時期について質問され、ふたりの若い成人の娘さんを持つ親御さんが返信されました。

 

 ちょっと別の話題なんですが。どなたか、アンドロゲンと数学能力の高さの関係についての研究をご覧になった方はいらっしゃいませんか?私たちの娘は数学はどうなんだろうって、実際的なところで確かめたくて、親御さんの非公式な調査をしたいと思ってるんです。私の娘たちは計算には強いんですが、より上位の概念理解には戸惑ってるようで。これは、数学科への入学率などを、出生前のアンドロゲンとそれに続く男性思春期のアンドロゲン増加で説明するという最近読んだ記事と合ってるんです。

 

 算数の能力については、性別の違いは最初はあまりなくても、思春期(二次性徴)以降は、正規分布曲線上、男の子のほうが一貫していい成績を収める(もちろん男の子全員が女の子全員より良いというわけではありません)。けれでも大きな数字やグラフを見るときには~などなど。これって、完全型のAIS女性にはどうなるんだろう?って。

 

 娘はずっと車の運転をしてますので、ジャーメイン・グリアだったら私のフォード車のリアバンパーを見たがるでしょうけど、彼女にだってきっと納得させることができると思います。アンドロゲンと空間認識能力には関連があると。(訳者注:ジャーメイン・グリアはオーストラリア出身のフェミニスト・女性解放家で、テレビ番組にも出演するなど英語圏では有名な存在。DSDを持つ人々の存在を以って、男女の区別はないと批判を行い、その個性的・急進的な思想は、多くの論争を巻き起こした。そのためここでは皮肉の意味を込めて名前が使われている。)

 

 まだ幼い娘(CAIS)は元気に育っていて、大きくなったら芸能界スターになるんだって言ってます。彼女はダンスやピンクのチュチュ、それにマイクで歌うのが大好きです。とにかく何でもピンク色に夢中です。(野菜をピンク色にする着色料があるって聞きましたが、多分家にあったらこの子使うでしょうね)。ジングルベルじゃなくて、「シェイク・ユア・ブーティ」なんかを歌って踊ったりしてるんですが、まだ2歳の子が身体をちゃんとコントロールしておしりフリフリするには、本当にものすごい集中力が必要です。でもまだまだですね。「シェイク・ユア・ブーティ」を完璧に歌って踊るには、もっと頭をできるだけ後ろに曲げられるようにならなきゃいけません。そうそう。スターになってこういう身体の動きをバランス良く踊るっていうのは、とっても大変なことなんですから!

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​DSDsのイメージを変えていくこと

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遺伝子変異の可能性を家族に伝えることについての話に、ある親御さんが書き込みをされました。

 

 すみません。どなたでもいいんですが、遺伝的つながりがあるかもしれない(もしくはキャリアかもしれない)親戚の方をご存知の方はいらっしゃいますか?ここ数時間の間のことなんですが、うちの子どもがPAISが疑われること、それに親戚にもこの状態を持つ家族がふたりいることが分かったんです。その内ひとりは、私が一緒に学校に行ってた仲なんですが、家族を作る前に検査を受けていたらしいのです。子どもや私たちがこの診断をどう受け止めていくかという不安と同じくらい、まるで裏切られたかのような思いもとても大きくて。。。不安も怒りも2倍続きそうで。。。

 難しいってことは承知してます。でも、患者家族に支援の手を伸ばすことで、こういう体の状態に対する社会の無理解を乗り越えていく基本的な第一歩にもきっとなるって思うんです。恥ずかしさやスティグマによって家族のメンバーがこのことについて話し合うのをためらうようになるってことよりも、「遺伝子の変異のこと、そしてプライヴァシーに関わることだから家族以外の人には話さないようにしている」って言われてたほうが、私にとってはずっと違ってただろうなあって。

 皆さんの状況がより良く変わっていけばと思ってますし、最終的には私たち個々が、それぞれ自身の家族にとって最善のあり方を決めていくべきだと思います。でも、患者家族自身も恥ずかしさやスティグマを続けさせているんじゃないか?、そういう悪循環を打ち破るために、もっといろいろなサポートを受けてもいいんじゃないか?とも思えて。

 

親御さんの中には、こういう体の状態を持つ有名人が、私たちの子どものロールモデル(訳者注:人生のお手本のこと)となり、DSDは普通にあることで、恐れたり恥ずかしがったりするようなことじゃないと示していってほしいと願う方もいらっしゃいます。ある親御さんがそれについて返信されました。

 

 そういう有名人の「力」には同意します。でも、自分の娘にそういう有名人になってほしいと望む・切望するのと同じくらいに、プラヴァシーもやはり大事だと感じています。それに、DSDのイメージを変えていくにも、私たち自身、この親のグループができることには、大きいこともあれば、小さいこともたくさんあるんじゃないかって。

 

 こういう体の状態とは関係なくとも、他の人と違っていても大丈夫、違いはクールだとアピールしている有名人の方も是非巻き込んでいきましょう。更に、現代的な医療ケアや現在の子育てをちゃんと反映した体験談を通して、誤ったイメージを改善していきましょう。

 私たちがシェアした体験談を世界中の人に少し見ていただくというのはどうでしょう?違いを受け止めることについて書きたいと望んでいる有名人も探しましょう (オプラさん!!それに多くの有名人も)。(訳者注:オプラ・ウィンフリーはアメリカの超有名な司会者で、影響力もある人物。オプラ・ウィンフリー・ショーは様々な人をゲストにするテレビトークショーで、DSDsを持つ当事者の方々と家族が出演されました)。

 マスコミにも取り上げてもらいましょう。もし私たちが 「マスコミに情報を与え」なければ、彼らは、私たちが本当は代表のように振る舞ってほしくない人にばかりインタヴューを採り、古いイメージのDSDを持つ人生を無理やり掘り起こすだけになってしまいます。

***

「私の娘(20代前半、CAISを持っています)が、先日こんな写真を送ってきました。偶然立ち寄ったトイレ(シアトルのパイクパレス)の写真です。「さて、私はどっちに行くでしょう?」って。もちろん全然面白半分で、別にその時アイデンティティ・クライシス(訳者注:自分が何者か分からなくなる・脅かされる状態)が起きたわけでもありません。(^^)」

 

「まあ、大変!!娘さんだけが反応されたんでしょうね。これはもう古典的なギャグですね。きっと記念になったでしょう。シェアいただいて、ありがとうございます」

 

「(爆笑)!!とっても面白いです!!素敵な娘さんですね!!(^^)。シェアありがとうございます!」

 

性分化疾患/インターセックス

「思わず笑っちゃいました。私の娘たちとお会いできる機会があれば、是非お顔を拝見したいです。そして訊いてみたいです。XYの女性限定のトイレはなかったんですか?って」。

 

「X0やXXYだったらどうなんでしょうね??スミマセン、からかいのつもりじゃないですよ。とっても面白くて、大爆笑しちゃいました!!!」

***

こういう体の状態について、主要なマスコミでも無神経な(insensitiveな)描写がされることについての話もよくされています。あるお母さんが、アメリカのテレビドラマ「プライヴェート・プラクティス」のある回についてお話されました。

 

 「悪くなかったと思います。実際尊重すべきものだったと思います。両親がDSDがいかにショックなものか、最初はどう対応するかというところはあまり現実的ではありませんでしたが、小馬鹿にするものでもありませんでしたし、一般の人にも悪くないイメージを示すものでした。私たちの子どもは健康です。他の人との違いは、世界の終わりじゃありません。お医者さんは、その人が他の人と少し違っていて、それがドラマの父親のように、誰かを恐れさせるようなものであっても、その人が自分自身で決めていくという権利を尊重するべきです。あの奔放な主人公の「フレンズ」のお医者さんヴァージョンみたいなドラマですが、いい仕事をしてくれたと思います。見た後も安心して眠れました。私たちこちら側に1点追加ですね!」

アンドロゲン不応症(AIS)女性とは?

 アンドロゲン不応症(AIS)女性とは、女性のDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)のひとつです。AISでは、染色体はXYで性腺も精巣なのですが、男性に多いアンドロゲンホルモンに体の細胞が全く,あるいは一部しか反応しない状態のために、母親の胎内の段階から、まったくの女性に生まれてきます。

 

 ただ、アンドロゲンレセプターが一部しかない部分型アンドロゲン不応症(PAIS)の場合、生まれた時、女性外性器がすこし大きめの状態で生まれることもあり、 現在ではちゃんとした検査が行われた上で、パターン・ケースが把握され、女の子であることが判明するようになっています。

 

 またアンドロゲンレセプターが完全にない体の状態は、完全型アンドロゲン不応症(CAIS)と呼ばれていて、この場合は生まれたときには全くわからず、たいていの場合思春期前後に判明します。

 ですが、完全型・部分型女性両者とも、子宮や膣の一部がなく、生物学的な子どもを持つことができず、ご本人もご家族も大きなショックを受けられることがほとんどです。

 アンドロゲン不応症(AIS)など染色体の違いのある女性についてさらに詳しくは、こちらをご覧ください。

性分化疾患/インターセックスaughter-sitting-on-the-pier-warm-autumn-day-dangling-his-legs

オランダのアンドロゲン不応症の女性たちのドキュメンタリー

家族の物語
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