御覧の皆様へ
ロキタンスキー症候群(MRKH)とは、女性のDSDのひとつです。ロキタンスキー症候群は、主に思春期の無月経から、膣や子宮、卵管の一部もしくは全てが無い状態であることが判明します。女性にとっては、とても心痛められることが多く、またこれまで、同じような体の状態を持つ女性との出会いもないまま、孤独の中を過ごさせねばなりませんでした。
現在,欧米ではロキタンスキー症候群のある女性への医療体制や,当事者女性たちのサポートグループも整備されるようになりましたが,それでもその苦しみや悩みがすべて解決されるわけではありません。
ロキタンスキー症候群をはじめとするDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)は、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。
私たちは「性のグラデーション」でも「男女の境界の無さ」でもありません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。
どうか、お間違いのないようにお願い致します。
詳しくは「DSDsとは何ですか?」のページをご覧ください。
2025年春,イギリスのBBCの人気番組「レース・アクロス・ザ・ワールド」に,ロキタンスキー症候群のあるベティさんと弟のジェームズさんがペアで参加されました。その番組の中で,ベティーさんが自身のロキタンスキー症候群と,それにまつわる想いを話をされ,とても心打つ話に,イギリスで大反響になりました。
以下がそのシーンの動画ですが,この反響を受けて,BBCニュースでもロキタンスキー症候群のある女性たちの記事が掲載されました。
BBCの人気番組「レース・アクロス・ザ・ワールド」のコンテスト参加者ベティ・ムカージーは、今週の番組でロキタンスキー症候群(MRKH)の診断を番組で話しをし、称賛された。
ベティはBBCニュースに対して、このエピソードの放送を前に緊張はしていたが、とてもポジティブな反応に「圧倒された」と語った。
NHS(イギリス国民医療保険サービス)によると、ロキタンスキー症候群は女性の5,000人に1人の割合とされている。
ロキタンスキー症候群は主に女性の生殖器系に影響を与え、生まれつき膣や子宮が無い、あるいは完全に発達しない。これは先天性の体の状態であり、生まれつきのものだが、多くは10代になるまで診断されない。
これは、番組で彼女の弟ジェームズとペアを組んだベティ(26歳)にも当てはまり、彼女は16歳の直後に診断されたと明かした。
「若い女性ならたいていは『結婚して家族を持つ』と思うものです。でもそれが不可能だと言われると、自分の存在意義に疑問を抱くようになるんです」と彼女は水曜日のエピソードで述べた。
ベティは子宮がなく、ロキタンスキー症候群の症状の一つとして腎臓が1つしかない。
「誰かの役に立てば、私の役目は果たされたんだと思っています」
ベティは最初、番組で自分の体の状態について話すかどうか迷っていた。
「診断を受けたとき、私はロキタンスキー症候群なんて聞いたこともありませんでした。今でも、多くの人が聞いたこはないでしょう」と彼女は語った。認知度を高めることが、オープンに話すことを決めた理由のひとつだと。
「もし誰かの役に立つなら、『大丈夫、これ聞いたことがある。この人が話していた』と言えるように」と。
番組が放送される前の不安は大きく、社会の人々がどのように反応するか分からないことが「怖い部分」だった。
「でも、これ以上ないというくらい良い反応だったんです」と彼女は言った。
彼女は今後も自身のストーリーを共有していきたいと思っている。
「もし少しでも人々の役に立てば、私の役目は果たされんだたと思っています」
ベティは、ロキタンスキー症候群の診断が彼女の心に与える影響について、弟のジェームズに率直に話した。
番組の冒頭、ベティは弟とはそれまであまり親しくなかったと認めた。
しかし、番組シリーズを通じてふたりの関係は発展し、水曜日のエピソードでは、ベティが体の状態についてジェームズに告白し、その後ジェームズは感極まって制作チームにハグを求めたのだった。
子どもを持ちたいと望む女性には、IVF代理出産や養子縁組などの選択肢がある。ロキタンスキー症候群の女性は、健康な卵子と女性ホルモンを生成する機能する卵巣を持っているのだ。
昨年、英国では初の子宮移植が行われ、移植を受けたのは34歳のロキタンスキー症候群女性。子宮ドナーは彼女の姉だった。
「診断された時の気持ちを言葉で表現するのは難しいです」
ロキタンスキー症候群(MRKH)の患者団体「MRKH Connect」のディレクターであるチャーリー・ビショップは、番組でのベティの告白は「驚異的だった」と語る。
「あのような場で、オープンに、そしてみんなが見ている番組で自分の脆さを見せる勇気は驚くべきものでした」と彼女はBBCに語った。
現在40歳のチャーリーも、17歳の時にロキタンスキー症候群であることを知った。
「私たちの誰もが心の準備なんてありませんでした。このようなことが起こるなんて教えられたこともないからです」と彼女は言う。
「月経が始まると言われ、それが起こらないときにそれが何を意味するのか教えられないですよね。私は『あなたはただの遅咲きなだけ。そのうち始まるから』と言われつづけました」。
彼女にとって最大の課題は、診断が彼女のメンタルヘルスに与える影響だったと思っている。
「診断のトラウマを処理するのに非常に長い時間がかかり、診断が私にとって何を意味するのか理解するのに数年かかりました」「悲しみやトラウマの感情…。こういう感情をどうコントロールしたらいいのかわからなかったんです」。
「当時の気持ちを言葉で表現するのは難しいです」。
「診断後、母が私のために赤ちゃんを産んでくれました」
デイジー・ジョナス(26歳)は、15歳で診断された時、ロキタンスキー症候群が彼女の人生にどのような影響を与えるのか「何も分かっていなかった」と言う。
デイジーには現在、代理出産で生まれた2歳の息子がいる。彼女の母親が彼女と夫のために赤ちゃんを産むことを申し出たのだ。
「私はいつも母親になりたいと思っていました」と彼女はBBCに語った。
「母が私たちのために赤ちゃんを産むことを申し出てくれて、私たちは『お願いします』と言たんです」。
デイジーは、今でも自分の体の状態を受け止めるのに苦労しており、自分の子どもを産むことができないことを苦悩している。
「私は助産師でもあるので、妊娠から逃れることができません」と彼女は言った。
「でも、私自身が出産できなくても、仕事でケアする人々のためにその過程の一部になることができるんだって思ってます」。
彼女は番組でベティがロキタンスキー症候群について話す場面を見て、感情が高ぶったと言います。
「公にロキタンスキー症候群についてこれほど深く話している人を見たことがありません」と彼女は言った。
「ただ一人の人が会話を始めるだけで十分です。」
ロキタンスキー症候群を持つ多くの女性にとって、チャーリーは、告白が最も難しい部分であると言う。
彼女は、ロキタンスキー症候群のある女性は最初はこの状態について恥辱や羞恥心を感じる傾向があり、家族や友人に診断をどのように話し合えばいいか分からないことが多いと主張する。
不妊症、子供、性に関する話題は特に難しい場合がある。
「これらの議論を正常化し、人々が快適に見て対話できるようにする必要があります」と彼女は続けます。
彼女は水曜日の番組のシーンが、状態に対する認識を高め続け、「ベティが始めたことを築き上げる」機会になることを望んでいます。
ロキタンスキー症候群(MRKH)とは、女性のDSDs:体の性の様々な発達のひとつです。ロキタンスキー症候群は、主に思春期の無月経から、膣や子宮、卵管の一部もしくは全てが無い状態であることが判明します。女性にとっては、とても心痛められることが多く、またこれまで、同じような体の状態を持つ女性との出会いもないまま、孤独の中を過ごさせねばなりませんでした。
ですが,近年では海外各国で「MRKH Connect」のようなサポートグループができあがり,ベティーさんのように自分自身のプライヴェートな想いを語る女性も出てきました。仲間同士のつながりは世界に広がりつつあります。
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