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出生前検査とDSDsについて,生命倫理学専門の齋藤有紀子先生との対談動画を作成いただきました。

 明治学院大学の柘植あずみ先生に機会をいただき,北里大学医学部生命倫理専門の齋藤有紀子先生との,新型出生前検査や着床前診断 と,クラインフェルター症候群(47XXY)やターナー症候群(45X)等のX・Y染色体バリエーションについて対談動画を作っていただきました。  


 新型出生前検査(NIPT)や着床前診断(PGT-A・SR)の問題点についてお話させていただいています。






クラインフェルター症候群(47XXY)のある男性と男の子たち




 今年の4月から,医療機関での新型出生前検査(NIPT)や着床前受精卵診断(PGT-A・SR)の,妊婦になる女性への適用が拡大されました。


 これらの検査は,生まれる前の胎児や受精卵になんらかの障害があるかどうかを調べる検査で,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)の中では,ターナー症候群(45,X)やXXX症候群の女の子,クラインフェルター症候群(47,XXY)やXYY症候群,XXYY症候群の男の子の胎児や受精卵が関わってきます。




 ですが,海外ではNIPTでX・Y染色体バリエーションが判明した場合,たとえばクラインフェルター症候群の場合で約73%,ターナー症候群では85%以上が中絶されているという調査結果もあります。



 この背景には,X・Y染色体バリエーションを始めとするDSDsに対する偏見が要因としてあります。




 海外のクラインフェルター症候群サポートグループ「Living with XXY」も,NIPTで47,XXY染色体(クラインフェルター症候群)が判明し,医師から中絶を勧められたというケースについて,医療従事者の方でもクラインフェルター症候群に対する正しい知識と情報が欠けていることを訴えていらっしゃいます。 





海外のクラインフェルター症候群サポートグループ「Living with XXY」は,NIPTでX・Y染色体検査が含まれている現状に対して,「男でも女でもない」という神話的な偏見を打ち破り,ネガティブな話をポジティブに変換していくとても素晴らしい情報発信を行われています。


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海外国家機関DSDs調査報告書

ベルギー国家機関性分化疾患/インターセックス調査報告書
オランダ社会文化計画局「インターセックスの状態・性分化疾患と共に生きる」表紙

 近年、教育現場や地方・国レベルで、LGBTQ等性的マイノリティの人々についての啓発が行われるようになっています。その中で,DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)が取り上げられるようになっていますが、昔の「男でも女でもない」という偏見誤解DSDについての知識が不十分なまま進められている現状があります。

 そんな中,人権施策や性教育先進国のオランダとベルギーの国家機関が,DSDsを持つ人々とご家族の皆さんの実態調査を行い報告書を出版しました。

 どちらもDSDsを持つ人々への綿密なインタビューや、世界中の患者団体、多くの調査研究からの情報などを総合し、誤解や偏見・無理解の多いDSDsについて、極めて客観的で当事者中心となった報告書になっています。世界でもこのような調査を行った国はこの2カ国だけで,どちらの報告とも,DSDsを持つ人々に対する「男でも女でもない」というイメージこそが偏見であることを指摘しています。

 ネクスDSDジャパンでは,この両報告書の日本語翻訳を行いました。

DSDs総合論考

 大変残念ながら,大学の先生方でもDSDsに対する「男でも女でもない」「グラデーション」などの誤解や偏見が大きい状況です。

 

 ですが,とてもありがたいことに,ジェンダー法学会の先生方にお声がけをいただき,『ジェンダー法研究7号』にDSDsについての論考を寄稿させていただきました(ヨヘイル著「DSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患/インターセックス) 排除と見世物小屋の分裂」)。

 今回,信山社様と編集委員の先生方のご許可をいただき,この拙論をブログにアップさせていただきました。

 DSDsの医学的知見は大きく進展し,当事者の人々の実態も明らかになってきています。ぜひ大学の先生方も,DSDsと当事者の人々に対する知見のアップデートをお願いいたします。

 

 (当事者・家族の皆さんにはつらい記述があります)。

ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
ジェンダー法研究:性分化疾患/インターセックス総合論考
性分化疾患YouTubeサイト(インターセックス)
ネクスDSDジャパン:日本性分化疾患患者家族会連絡会
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