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LIFE STORIES

スワイヤー症候群のある女性の物語(性分化疾患/インターセックス)

アビィのランの花

スワイヤー症候群女性

アビィさん

DSDを持っていることは、いつも悲しいだけではない、いつも重荷なだけでもない。自信を持っていい。決して誰かに任せられない自分自身の人生なんだ。だってそれが恐ろしくとも素晴らしく私自身を形作っているのだから。

 

御覧の皆様へ

 スワイヤー症候群とは、女性のDSDsのひとつです。染色体はXYですが、原性腺(卵巣や精巣に分化していく元の組織)が発達せず、それによりアンドロゲンの影響を全く受けないために、人間の原型である女性のままで生まれてくる体の状態です。一般的にこの体の状態が判明するのは思春期前後で、スワイヤー症候群を持つ女の子ご本人も、ご家族も大きなショックを受けられることがほとんどです。

 

 私たちは「性のグラデーション」でも「男女の境界の無さ」でもありません。むしろそのようなご意見は、私たちの女性・男性としての尊厳を深く傷つけるものです。

 スワイヤー症候群をはじめとするDSDs:体の性の様々な発達(性分化疾患)は、「女性にもいろいろな体がある、男性にもいろいろな体がある」ということです。

 

 どうか、お間違いのないようにお願い致します。

 

 詳しくは「DSDsとは何ですか?」のページをご覧ください。

私は恐怖に襲われていました。

 私は17歳の女の子です。本当に恵まれた普通の生活を送ってきました。でも、中学生の時です。私は少しずつなにか違うものを感じ始めていました。私の友達は胸が大きくなって、生理やいろいろなことが始まっていきます。けれども私には何も起こらなかったんです。中学の1年生までは、あまり気にしていませんでした。

 

 でも、6月3日、その日のことは今でも覚えています。母は私の体は全然大丈夫なのだということを確かめるために、私を婦人科の病院に連れて行きました。待合室で、重い気分になりながら、涙が出てきて、何かがおかしいのだという予感を感じていたのを今でも覚えています。お医者さんは私の体を見て、いくつかの検査をし、そして私に告げました。思春期の第一段階がまだ始まっていないと。彼女は私の血をとり、超音波検査をし、どんなことが起きているのかその可能性について話しました。次の日もう一度病院に行って、MRIやいろいろな検査を受けるときには、私は恐怖に襲われていました。両親と私はお医者さんのオフィスまで階段を上がり、そして更に検査を受けました。お医者さんが私たちに椅子を勧め、ドアを閉めます。私はガタガタ震えていました。

 MRI検査で、私には子どもを生む能力がない。彼女は説明を始めました。私は頭が重くなり、呼吸が深くなっていきました。胸に熱いものを感じたかと思うと、私は彼女のオフィスで突然嘔吐し、そのまま気を失ってしまいました。両親とお医者さんは私を静かな部屋に運び、しばらく休ませ、更に血液を採っている間、お医者さんはは両親に全てを話していました。

 

 私たちは押し黙ったまま、エレベーターを降り、駐車場に出ます。車が通りに出た時、私は母に聞きました。「どういうこと?私には赤ちゃんができないの?」。母は大きな痛みをたたえた涙を浮かべて、悲しみに打ちひしがれた顔で私に向かい、私には赤ちゃんができないことを告げました。

 私の魂は深く沈みこみました。

 帰りの途、私は呆然としたままでした。妹には一言だけ声をかけて、母のベッドに横たわり、テレビで赤ちゃんのおむつのCMを見る度に泣いていました。CMでは、お母さんが喜びをたたえた眼差しで自分の赤ちゃんを見つめ、赤ちゃんもまたそういう目でお母さんを見つめていました。私の将来の夢は打ち砕かれました。子どもの世話をしたい、いつか赤ちゃんを作りたい、お母さんになりたい、そんなことを夢見ていた少女として、その夜ずっと、私は悲しみに打ちひしがれていました。なぜこんなことが?なぜ私は子どもが産めないの?私は自分が失ったもの、自分自身を哀しんでいたんです。

 私はこんなことは全く偶然に起こったことだと思っていました。母が自分で調べて、私に
AISのことを話した、あの7月17日までは。母は「アンドロゲン不応症(AIS)」などの医学用語と、私はXYであること、精巣があること、そして手術を受けなければならないことを私に話しました。それはまるで悪夢でした。病院に行った時と同じ感情に私はまた襲われました。もっとひどくなって。こんなひどい体験はありませんでした。自分が誰なのか、何なのかさえ分からなくなるような。

Image by Ansgar Scheffold
紫の花

誰にも話せないことがとても重かったんです。

 私は吐き気がしました。私はもう私自身ではなく、何か気持ち悪い、他の人と違ったものであることを嫌に思ったのです。お願いだから、もうやめて!と私は心の中で叫びました。私はケイティ(アンドロゲン不応症(AIS)の女性です)にメールを送りました。私にはそれしか思いつかなかったのですが、これは助けになりました。私はただただ何も知らなかった頃に戻りたいと思っていました。次の週に私は、芽細胞腫(訳者注:がさいぼうしゅ:小児がんの一種。)が発症していた性腺を取り除くための手術を受けました。死ぬほど怖かったです。

 ハイスクールに入ってからも、こころに重いものを持っていました。こころの痛み、それに誰にも話せないことがとても重かったんです。ホルモン療法を始めて間もなく、わたしはフェイスブックのグループを見つけました。とても信頼できて、さまざまな経験をしているこのグループの女の子たちと話をしつづけた、「オーキッドヴァーシー」(訳者注:AISなどを中心とするDSDsを持つ女性のためのインターネットサポートグループの名前。オーキッド=ランの花は、AISやスワイヤー症候群を持つ女性たちのよく使われるシンボルです。)での1年の後、私は自分の状況との折り合いがつけられるようになっていました。

この体は別に不幸な運命でも恥ずかしく思うことでもない。

 次の年の夏、私はダラスを訪れました。サポートグループの国際ミーティングがそこで行われていたのです。私はそこが大好きになっていました。

 

 私は自分はAISだと思っていたのですが、ダラスで本当はスワイヤー症候群だということが分かりました。これでいろいろな疑問が解けました。ミーティングで本当に素敵な友達関係ができてうれしかったです。私は自分がDSDを持っていることを受け止め、自分に自信がついてきました。

 それは今まで感じたことがないような強い思いでした。私は最近、私を勇気づけてくれるグループの女の子たちと自分の経験を共有するようにしています。この体は別に不幸な運命でも恥ずかしく思うことでもない、自分自身に自信を持っていいんだと。

 

 今日私の経験を読んでいただいている皆さん。DSDを持っていることは別に何か突然変異の病気を持っているということではない。いつも悲しいだけじゃない。いつも重荷なだけではなく、うれしいと思うことにもつながることでもあるんです。

 

 自分に自信を持っていい。決して誰かに任せられない自分自身の人生なんだ。だってそれが恐ろしくとも素晴らしく私自身を形作っているのだから、ということを伝えられればと思います。グループの皆さんに感謝します。私の誇りです。

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スワイヤー症候群とは?

 スワイヤー症候群とは、女性のDSDsのひとつです。染色体はXYですが、原性腺(卵巣や精巣に分化していく元の組織)が発達せず、それによりアンドロゲンの影響を全く受けないために、人間の原型である女性のままで生まれてくる体の状態です。一般的にこの体の状態が判明するのは思春期前後で、スワイヤー症候群を持つ女の子ご本人も、ご家族も大きなショックを受けられることがほとんどです。

 

 アビィさんはDSDを持つユースのグループの一員として、DSDsについての正しい知識の啓発と、サポートをされています。

スワイヤー症候群のある女性の物語(性分化疾患/インターセックス)
アンドロゲン不応症(AIS)やスワイヤー症候群など
XY女性の物語
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